2023年法改正!解体工事のアスベスト調査を徹底解説

2023年10月から、解体工事におけるアスベスト事前調査が義務化されました。この法律改正により、建築業者や不動産業者だけでなく、一般消費者もアスベストのリスクと調査方法について理解を深める必要があります。今回は、アスベスト調査の義務化の背景、調査手順、必要な資格、罰則などについて詳しく解説します。この記事を読むことで、アスベストに関する最新の情報を把握し、適切な対応を取るための知識を得ることができます。

アスベスト調査義務化の背景

アスベストの危険性とは

アスベストは、建築材料として広く使用されてきましたが、その粉塵を吸入することによる健康被害が深刻です。アスベストを吸引すると、肺がん、中皮腫、アスベスト肺などの致命的な病気を引き起こすリスクがあります。このため、多くの国で使用が禁止され、既存の建築物に含まれるアスベストの管理が厳しく求められています​ 。

法改正の経緯

日本におけるアスベスト規制は、1975年に始まりましたが、その後も被害の拡大を受けて法改正が繰り返されてきました。2023年の法改正では、特に解体工事時のアスベスト事前調査が義務化され、違反者に対する罰則も強化されました。この改正は、解体工事中のアスベスト飛散を防ぎ、工事関係者や周辺住民の健康を守ることを目的としています。

アスベスト調査の具体的な手順

書面調査の重要性

アスベスト調査の第一歩は、建築物の設計図書や施工図面を確認する書面調査です。この段階では、建設当時に使用された材料や工法を確認し、アスベストが含まれている可能性のある箇所を特定します。特に古い建物では、アスベストが使用されている可能性が高いため、詳細な記録が求められます。設計図書にアスベスト使用の記載がない場合でも、建築年代とアスベスト規制の歴史を照らし合わせて、使用されたかどうかを推測します​ 。

現地調査の実施方法

書面調査の結果、アスベストが使用されている可能性がある場合は、現地調査を行います。現地調査では、建物の天井、壁、床、配管などあらゆる部分を目視で確認し、アスベスト含有の疑いがある箇所を特定します。目視調査だけでは断定が難しい場合、サンプルを採取して分析調査を行います。この段階では、特に作業時に危険性が高い部分からチェックを開始し、安全に配慮した調査が求められます​ 。

分析調査の必要性

現地調査でアスベストの使用が断定できない場合、専門機関での分析調査が必要となります。分析調査には「定性分析」と「定量分析」があり、通常は定性分析が行われます。これにより、アスベストが含まれているかどうかを科学的に確認し、安全な除去作業の計画を立てます。分析結果は報告書にまとめられ、必要な措置が取られます​。

調査結果の報告と保存義務

報告書作成の手順

アスベスト調査が完了した後、調査結果を記録した報告書を作成します。この報告書には、書面調査、現地調査、分析調査の結果が含まれます。報告書は、解体工事を開始する14日前までに労働基準監督署や自治体に提出する必要があります。これにより、工事関係者や周辺住民の安全が確保されるよう監督されます​ 。

報告書には以下の内容を含める必要があります:

  • 調査対象建物の詳細
  • 各調査段階の方法と結果
  • アスベスト含有建材の有無とその場所
  • 必要な対応措置の詳細

保存義務とその重要性

調査結果の報告だけでなく、その保存も法律で義務付けられています。元請業者は、アスベスト調査結果の記録を最低3年間保存しなければなりません。この保存義務は、将来的に問題が発生した場合の証拠として機能し、適切な管理が行われたことを示すために重要です。保存期間中に調査結果の改ざんや紛失があれば、法的な罰則が適用されることがあります​ 。

アスベスト調査に必要な資格

特定建築物石綿含有建材調査者

特定建築物石綿含有建材調査者は、アスベスト調査を行うために必要な資格の一つです。この資格を取得するためには、一般財団法人環境科学センターが提供する講習を受講し、筆記試験と口述試験に合格する必要があります。資格取得には、建築やアスベスト調査に関する実務経験が求められ、その年数は学歴により異なります。たとえば、大学卒業後は2年以上、高校卒業後は7年以上の実務経験が必要です​ 。

一般建築物石綿含有建材調査者

一般建築物石綿含有建材調査者も、アスベスト調査を行うための資格の一つです。この資格を取得するには、特定の講習を受けて試験に合格することが求められます。この資格を持つ者は、住宅や商業施設などの一般建築物に対するアスベスト調査を実施できます。資格取得の条件は、特定建築物石綿含有建材調査者と同様に実務経験が必要です​。

一戸建て等石綿含有建材調査者

一戸建て等石綿含有建材調査者は、主に住宅などの一戸建てに対するアスベスト調査を行う資格です。こちらも同様に、資格取得には講習を受講し、終了考査に合格する必要があります。この資格を持つことで、個人住宅や小規模建物におけるアスベスト調査が可能になります​。

アスベスト除去工事の手順と注意点

除去工事の準備

アスベスト除去工事を始める前には、徹底した準備が必要です。まず、近隣住民に工事の内容や期間を説明し、理解と協力を得ることが重要です。アスベスト除去作業中に発生する粉塵が周囲に飛散しないように、作業現場には飛散防止用のシートを設置します。また、作業員がアスベストに触れることがないように、適切な防護具の準備も欠かせません。これにより、作業員と周辺住民の安全を確保します​。

アスベスト除去作業の実施

アスベスト除去作業は、細心の注意を払って行われます。作業手順は以下の通りです:

  1. 近隣へのご挨拶: 作業開始前に近隣住民へ作業内容を説明し、理解と協力を得ます。
  2. 足場の組み立てと飛散防止用シートの設置: 作業現場全体を覆い、アスベストの飛散を防ぎます。
  3. 建物内部の残置物の撤去: 家具や設備機器などを撤去し、アスベスト除去の準備をします。
  4. アスベストの除去: 専門的な方法でアスベスト含有建材を慎重に取り除きます。作業中は、アスベストの飛散を防ぐための防護措置を徹底します。
  5. 作業後の確認と清掃: 除去作業が完了した後、残留アスベストがないかを確認し、徹底的に清掃を行います​。

 

まとめ

アスベスト調査義務化の背景には、アスベストが健康に及ぼす重大なリスクがあります。アスベストを吸引することにより、肺がんや中皮腫といった深刻な病気を引き起こす可能性があるため、法規制が強化されてきました。2023年の法改正では、解体工事におけるアスベスト事前調査が義務化され、違反者に対する罰則も設けられています​。調査は書面調査、現地調査、分析調査の順で行われ、調査結果は報告書として作成し、工事開始の14日前までに労働基準監督署や自治体に提出する必要があります。また、調査結果は最低3年間保存しなければなりません​。

また、これらアスベスト調査を行うためには、特定建築物石綿含有建材調査者や一般建築物石綿含有建材調査者などの資格が必要ですが、ヒロ総合メンテナンスでは新たにこれらの資格も取得しておりますのアスベスト調査についてのご相談も承っております。

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