全面打診外壁調査

建築物等の定期調査に関する「外壁仕上材の全面打診等」について

建築物等の定期調査における、外装仕上げ材等のうち、「タイル、石貼り等(乾式工法によるものを除く。)、モルタル等の劣化及び損傷の状況調査」については、「竣工後等から10年を経過した場合、歩行者等に危害を与えるおそれのある部分に限って、全面打診等の調査」を平成20年4月1日から実施することとなりました。
建築物等の定期調査は、一級・二級建築士又は特定建築物調査員(以下、「定期調査者」という。)が行うことが法律で定められています。

外観目視法により壁面全体について、タイルまたはモルタルの剥落、欠損、白華現象、ひび割れ等を調査するとともに、①全面打診法、②全面的な赤外線装置法もしくは全面的な反発法と赤外線装置法、反発法では明確な判断ができない部分についての部分打診法の併用のいずれかの方法により、浮きの測定を行う。

(注)定期調査報告においては、①全面打診法と②のうち手の届く範囲の打診と併用した赤外線装置法が、引用可能となる。
以下に分かりやすく記載をします。

1.外装材の条件

  1. 打診調査の対象になる外装材には、大きく3つの種類があります。
    タイル貼り(PC・ALC版に貼られる場合や工場で打込まれる場合も含む)
  2. 石貼り(乾式工法によるものを除く)
  3. ラスモルタル(モルタル塗 一般的に20~40mm)

これらの仕上の場合、目視及び打診調査を行わなければなりません。
クラック(ひび割れ)や浮きが認められる場合、仕上材の一部が落下し、歩行者等に危害を加える恐れが出てきます。
(注)石貼り等では乾式工法を除くとなっていますが、これは接着モルタルなどで貼り付ける工法ではなく、ファスナー金物とアンカーを使って固定する工法です。この工法の場合、落下の危険性は低い為除外されています。

2.築年数や改修工事等による条件

建物が竣工してから10年を超えているものについて、

  1. 外壁改修工事を10年を超えて行っていない場合
  2. 歩行者等に危害が加わる恐れのある部分の全面打診調査を、10年を超えて行っていない。

上記1.2.に該当する場合、3年以内に外壁の全面打診調査を行う必要があります。
※まだ築年数が浅く全面打診調査が必要な建物に該当していない場合でも、目視確認及び手の届く範囲の打診調査や、万が一異常個所がある場合はその箇所の全面打診調査が必要になりますのでご注意ください。

3.一部例外条件

10年を超えていて全面打診調査を行っていない場合でも、一部例外があります。

  1. 3年以内に外壁の改修工事を実施することが確実な場合
  2. 歩行者等の安全を確保するための対策を講じられている場合

外壁改修工事の予定をしている場合は、その改修工事で異常個所の改善がなされるものとして判断します。また、歩行者の通路等に安全確保の為の庇や屋根を設置するなど、外壁仕上材の落下時に十分な安全が確保されている状態の場合は例外となります。

※まだ築年数が浅く全面打診調査が必要な建物に該当していない場合でも、目視確認及び手の届く範囲の打診調査や、万が一異常個所がある場合はその箇所の全面打診調査が必要になりますのでご注意ください。

4.外壁(タイル)の赤外線調査・診断の料金

例)外壁面積 1,000㎡ 料金比較
赤外線法:約40万円~50万円(現地撮影+画像解析+写真台帳+損傷図作成)
打 診 法:約160万円 仮設足場(120万円)+打診費(25万円)+損傷図(15万円)
外壁単価(㎡) 120円~500円 調査面積により変動します。
特殊建築物定期調査での外壁調査で建物外壁タイルなどの浮きを赤外線カメラで撮影し、解析する赤外線調査(赤外線サーモグラフィ法)ですと、足場組やゴンドラ設置に要するコストが不要となりますので、調査費用(コスト)を大きく抑えることが可能となります。

5.外壁診断赤外線調査の流れ

Step1・・・現場調査の実施

  1. 外壁の日射状況の確認
  2. 測定できない外壁の確認
  3. 赤外線カメラの設定位置

Step2・・・赤外線 撮影計画

  1. 赤外線カメラの撮影位置の選定を行う。
  2. 壁面に汚れ、エフロレッセンス、錆水などが付着していて、浮きと誤認しやすい。その場合は可視画像による映像を併用して診断を行う。

Step3・・・赤外線カメラでの外壁撮影

  1. 赤外線装置を用いて撮影
  2. 打診等調査
    手の届く範囲及び、赤外線装置で測定が困難な箇所は、可能な範囲にて打診棒により打診調査を実施する。
  3. 目視調査
    肉眼及び、双眼鏡により外壁のひび割れ等の劣化調査を行う。

Step4・・・撮影した赤外線画像の解析

赤外線サーモグラフィ装置、打診等調査により収集した現地測定結果を取りまとめ画像解析をします。

Step5・・・報告書の作成

  1. 建物概要
  2. 調査会社名、調査責任者名、調査担当者名、調査部分
  3. 調査実施日、調査時の天候等
  4. 浮き部の抽出図(立面図に損傷を記入)
  5. 赤外線解析画像台帳の作成
  6. 代表的な損傷写真
  7. 調査状況時の写真

定期報告の対象となる建築物・・・栃木県

用途 政令及び県細則による指定規模等 報告間隔 報告時期
劇場、映画館又は演芸場 地階若しくはF≧3階A≧200㎡(客席部分に限る。)
主階が1階にないもので A>100㎡
2年 検査済証の交付を受けた日の属する月から起算して報告間隔を超えない9月
次回以降、報告間隔を超えない9月
観覧場(屋外観覧場を除く。)公会堂又は集会場 地階若しくはF≧3階
A≧200㎡
病院又は診療所
(患者の収容施設があるものに限る。)
地階若しくはF≧3階
2階の床面積300㎡以上
(2階に患者の収容施設がある場合)
ホテル又は旅館 地階若しくはF≧3階
2階の床面積300㎡以上
A≧1,000㎡以上【県細則による指定】
児童福祉施設等
(高齢者等の就寝の用に供するものに限る。)
地階若しくはF≧3階
2階の床面積300㎡以上
百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店又は物品販売業を営む店舗 地階若しくはF≧3階
2階の床面積500㎡以上A≧3,000㎡以上
【避難階のみの場合は県細則により指定】
下宿、共同住宅、寄宿舎等
(高齢者福祉施設の就寝の用に供するものに限る。)
地階若しくはF≧3階
2階の床面積300㎡以上
3年
体育館
(学校に付属するものを除く。)
F≧3階
A≧2,000㎡
博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場 F≧3階
A≧2,000㎡
事務所その他これらに類するもの F≧5階 かつ A>1,000㎡
【県細則による指定】

(注意)
1.F≧3階、F≧5階、地階若しくはF≧3階とは、それぞれ3階以上の階、5階以上の階、地下若しくは3階以上の階で、その用途に供する部分の床面積の合計が100㎡を超えるものをいいます。  

2.Aはその用途に供する部分の床面積の合計をいいます。   

3.新築の建築物は、検査済証の交付を受けた直後の時期については報告する必要はありません。(初回免除)

定期報告の対象となる建築物・・・茨城県

用途 規模 報告時期
劇場,映画館又は演芸場 地階,F≧3階,A≧500平方メートル又は主階が1階にないもの 平成28年度
(2年に1回)
観覧場(屋外観覧場は除く。),公会堂又は集会場 地階,F≧3階又はA≧1,000平方メートル
病院又は診療所
(患者の収容施設があるものに限る。)
地階,F≧3階又はA≧1,000平方メートル
ホテル又は旅館 地階,F≧3階又はA≧1,000平方メートル
事務所その他これに類するもの
(階数が5以上で延べ面積が1,000平方メートルを超えるものに限る。)
地階,F≧3階 平成28年度
(3年に1回)
百貨店,マーケット,展示場,キャバレー,カフェ,ナイトクラブ,バー,ダンスホール,遊技場,公衆浴場,待合,料理店,飲食店又は物品販売業を営む店舗 地階,F≧3階又はA≧1,000平方メートル 平成27年度
(2年に1回)
博物館,美術館,図書館,ボーリング場,スキー場,スケート場,水泳場又はスポーツの練習場 地階,F≧3階又はA≧2,000平方メートル 平成29年度
(3年に1回)
児童福祉施設,老人福祉施設, 有料老人ホーム, 幼保連携型認定こども園
その他建築基準法施行令第19条による児童福祉施設等(PDF:63KB)
地階,F≧3階又はA≧1,000平方メートル 平成28年度
(2年に1回)
学校又は体育館 地階,F≧3階又はA≧2,000平方メートル 平成27年度
(3年に1回)

(注意)
1.「地階,F≧3」は,地階又は3階以上の階でその用途に供する部分(100平方メートル以下のものは除く。)を有するものを示す。

2.Aはその用途に供する部分の床面積(平方メートル)の合計を示す。

3.複数の用途(事務所は除く)に供する建築物にあっては,それぞれの用途に供する部分の床面積の合計をもってその主要な用途に供する部分の床面積の合計とする。

定期報告の対象となる防火設備・・・栃木県

用途 政令及び県細則による指定規模等 報告間隔 報告時期
定期報告対象建築物
(県細則指定建築物を含む。)
随時閉鎖式のものに限る。 1年 検査済証の交付を受けた日以降の9月
次回以降毎年9月
病院、診療所又は高齢者等の就寝の用に供する施設
(200㎡以上)

※外壁開口部の防火設備、常時閉鎖式の防火設備、防火ダンパーは対象外です。

(注意)
1.「地階,F≧3」は,地階又は3階以上の階でその用途に供する部分(100m2以下のものは除く。)を有するものを示す。

2.Aはその用途に供する部分の床面積(m2)の合計を示す。

3.複数の用途(事務所は除く)に供する建築物にあっては,それぞれの用途に供する部分の床面積の合計をもってその主要な用途に供する部分の床面積の合計とする。

建築物の調査を行うには、建築物の防災等について専門的な知識を有することが必要であり、建築基準法においては、

  • 一級建築士又は二級建築士
  • 特定建築物検査員
  • 建築設備検査員
  • 防火設備検査員

が、有資格者として定められています。

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