消防設備の点検・施工・申請・設計
消防法施行令等の一部改正(平成28年4月1日施行)
改正理由
平成25年10月11日に発生した福岡市有床診療所火災を受けて、避難のために患者の介助が 必要な有床診療所・病院について、原則として、延べ面積にかかわらず、スプリンクラー設備の設置を義務付けるほか、特定施設水道連結型スプリンクラー設備の設置対象となる施設の面積要件を見直す。併せて、屋内消火栓設備、動力消防ポンプ設備、消火器又は簡易消火器具及び消防機関へ通報する火災報知設備の設置に関する基準を見直します。 また、上記の政令改正に関連し、消防法施行規則において、スプリンクラー設備の設置を要しない診療科名、特定施設水道連結型スプリンクラー設備の面積要件に算入しない部分、消防機関へ 通報する火災報知設備と自動火災報知設備の連動等を規定するほか、火災通報装置の基準において、火災通報装置を自動火災報知設備と連動させる場合の基準等について規定します。
1 消防法施行令の一部を改正する政令について
【主な改正事項】
(1) スプリンクラー設備の設置基準の見直し
(2) 特定施設水道連結型スプリンクラー設備の設置基準の見直し
(3) 屋内消火栓設備(動力消防ポンプ設備)の設置基準の見直し
(4) 消火器又は簡易消火用具の設置基準の見直し
(5) 消防機関へ通報する火災報知設備等の基準の見直し
(6) 防火対象物用途区分の見直し
(7) 施行期日及び既存の防火対象物における経過措置
消防設備点検の概要
防火対象物の関係者は、当該防火対象物(政令別表1(20)項を除く。)における消防用設備等又は特殊消防用設備について、定期的に、一定の防火対象物にあっては消防設備士又は消防設備点検資格者に点検させ、その他の防火対象物にあっては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。
そして、この報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、30万円以下の罰金又は拘留に処せられることとされております。
政令別表1
防火対象物 | ||
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1 | イ | 劇場、映画館、演芸場又は観覧場 |
ロ | 公会堂又は集会場 | |
2 | イ | キャバレー、カフェー、ナイトクラブその他 これに類するもの |
ロ | 遊技場又はダンスホール | |
ハ | 風俗営業などを営む店舗 | |
ニ | カラオケボックスなど個室を提供する店舗 | |
3 | イ | 待合、料理店その他これに類するもの |
ロ | 飲食店 | |
4 | 百貨店、マーケットその他物品販売業を営む店舗又は 展示場 |
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5 | イ | 旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの |
ロ | 寄宿舎、下宿又は共同住宅 | |
6 | イ | 病院、診療所又は助産所 |
ロ | 特別養護老人ホームなど介護を要する高齢者関係諸施設 救護施設、乳児院、知的障害児施設、盲ろうあ児施設など |
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ハ | 介護を必要と高齢者用諸施設、更正施設、助産婦施設、 保育所 |
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ニ | 幼稚園、特別支援学校 | |
7 | 学校関係(小学校、中学校、高等学校、大学、各種学校 など) |
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8 | 図書館、博物館、美術館その他これらに類するもの | |
9 | イ | 公衆浴場のうち、蒸気浴場、熱気浴場 |
ロ | イ以外の公衆浴場 | |
10 | 車輌の停車場、船舶もしくは航空機の発着場の乗降、 待合所 |
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11 | 神社、寺院、教会その他これらに類するもの | |
12 | イ | 工場又は作業場 |
ロ | 映画スタジオ又はテレビスタジオ | |
13 | イ | 自動車車庫又は駐車場 |
ロ | 飛行機又は回転翼航空機の格納庫 | |
14 | 倉庫 | |
15 | 前各項に該当しない事業場 | |
16 | イ | 複合用途防火対象物のうち、その一部が特定用途に供されているもの |
ロ | イ以外の複合用途防火対象物 | |
16の2 | 地下街 | |
16の3 | 準地下街 | |
17 | 重要文化財 | |
18 | 延長50メートル以上のアーケード | |
19 | 市長村長の指定する山林 | |
20 | 総務省で定める舟車 |
※色つきは特定防火対象物を示しております。
注:本表は、ホームページ用に簡略化してあります。
消防設備士又は消防設備点検資格者に点検させなければならない防火対象物
用途 | 特定防火対象物 | 特定防火対象物以外の防火対象物 | 特定1階段等防火対象物 |
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資格を有する者に点検させなければならない防火対象物 | 延べ面積 1,000m2以上のもの |
延べ面積1,000㎡以上のもので消防長又は消防署長が指定するもの | 政令別表1より(1)項から(4)項まで、(5)項のイ、(6)項又は(9)項イの用途に供される部分が避難階以外の階(1階及び2階を除く。)に存する防火対処物で、当該階から避難階又は地上に直通する階段が2(当該階段が屋外に設けられ又は総務省令で定める構造を有する場合にあっては、1)以上ないもの |
消防設備資格の種類
消防設備点検は資格を有している者(消防設備士又は消防設備点検資格者)に点検をさせる事となっております。消防設備士と消防設備点検資格者の種類は以下の通りです。
消防設備士
甲種又は 乙種 |
第1類 | 屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備、動力消防ポンプ設備、連結散水設備、連結送水管、消防用水、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備、共同住宅スプリンクラー設備、共同住宅用連結送水管 |
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第2類 | 泡消火設備、動力消防ポンプ設備、連結散水設備、連結送水管、消防用水、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備、共同住宅スプリンクラー設備、共同住宅用連結送水管 | |
第3類 | 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備 | |
第4類 | 動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備 、非常警報器具、非常警報設備、排煙設備、非常コンセント設備、無線通信設備、共同住宅用自動火災報知設備、住戸用自動火災報知設備、特定小規模施設用自動火災警報設備、共同住宅用非常警報設備、誘導灯及び誘導標識(電気工事士又は電気主任技術者の免状の交付を受けている者)、共同住宅用非常コンセント設備、加圧防排煙設備、複合型居住施設用自動火災放置設備 | |
第5類 | 避難器具 | |
乙種 | 第6類 | 消火器、簡易消火器 |
第7類 | 漏電火災警報器、非常警報器具、非常警報設備、排煙設備、非常コンセント設備、無線通信設備、誘導灯及び誘導標識(電気工事士又は電気主任技術者の免状の交付を受けている者)、共同住宅用非常コンセント設備、加圧防排煙設備 |
消防設備点検資格者
第1種 | 第1類 第2類 第3類 第6類 |
消火器具、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、 ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備 、屋外消火栓設備、動力消防ポンプ設備、消防用水、 連結散水設備及び連結送水管、パッケージ型消火設備及びパッケージ型自動消火設備、共同住宅用スプリンクラー設備、共同住宅用連結送水管 |
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第2種 | 第4類 第5類 第7類 |
自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、漏電火災警報器、消防機関へ通報する火災報知設備、共同住宅用自動火災報知設備、住戸用自動火災報知設備、非常警報器具、非常警報設備、避難器具、誘導灯、誘導標識、排煙設備、非常コンセント設備、無線通信補助設備、共同住宅用非常コンセント設備、特定小規模施設用自動火災報知設備、加圧防排煙設備、複合型居住施設用自動火災放置設備 |
点検の期間
機器点検は、すべての消防用設備等(配線部分を除く。)について、6か月ごとに行われ、総合点検は、機器点検では機能を十分に確認することのできない屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、自動火災報知設備等の消防用設備並びに非常電源、配線及び総合操作盤について、1年毎に行われます。
消防機関への報告
防火対象物の関係者は、点検した結果を、維持台帳に記録(編さつ)するとともに、特定防火対象物にあっては1年に1回、その他の防火対象物にあっては3年に1回、特殊消防用設備等の設置されている防火対象物にあっては、設備等維持計画に定められている期間に従い、消防長又は消防署長に報告しなければなりません。
消防設備
消防設備の設置工事、整備について
消防設備士免状の交付を受けていない者は、消防用設備等の設置工事、整備(点検を含む)を行ってはならない。(独占業務)
なお、甲種消防設備士は工事及び整備ができる。乙種消防設備士は整備のみができ、工事はできない。
ア 消防設備士の工事、整備、免状の種類は上記表を参照。
イ 消防設備士以外でもできる整備
● 屋内消火栓設備の表示灯の交換
● 屋内、屋外消火栓設備のホース又はノズルの交換
● ヒューズ類、ネジ類等部品の交換
● 消火栓箱、ホース格納箱等の補修