防火設備定期検査は、建築物の安全性を確保するために欠かせない重要な手続きです。火災から建物とその利用者を守るためには、防火設備が正しく機能することが求められます。しかし、多くの建物所有者や管理者にとって、この検査の具体的な内容や実施方法はわかりにくいかもしれません。この記事では、防火設備定期検査の概要、検査対象、具体的な検査項目、費用や信頼できる業者の選び方について詳しく解説します。
防火設備定期検査とは？概要と背景
防火設備定期検査の誕生背景
防火設備定期検査は、2016年に建築基準法の改正により創設されました。この制度が誕生した背景には、2013年に福岡市で発生した大規模火災があります。この火災では法令違反や防火設備の不具合が火災の拡大原因となり、多くの犠牲者が出ました。このような事故を防ぐために、防火設備の定期的な検査と報告が義務付けられました。
防火設備定期検査の目的と重要性
防火設備定期検査の主な目的は、火災時に防火設備が確実に作動することを確保することです。これにより、建物利用者の安全を守ることができます。定期的な検査と報告により、防火設備の適切な維持管理が図られ、建物の安全性が高まります。
検査対象となる建築物と防火設備
検査対象となる建築物の条件
防火設備定期検査の対象となる建築物は、特定行政庁によって異なりますが、一般的には特定建築物や200㎡以上の病院、診療所、高齢者施設などが該当します。具体的には、以下のような条件があります。
- 特定建築物: 建築基準法に基づいて特定された建物
- 規模や用途: 200㎡以上の病院、診療所、高齢者施設、障害者施設など
- 防火設備の有無: 防火扉、防火シャッター、耐火クロススクリーンなどの防火設備を有する建物
これらの条件に該当する建物は、防火設備定期検査を実施し、結果を特定行政庁に報告する必要があります 。
検査対象の防火設備の種類
防火設備定期検査の対象となる防火設備には、以下のようなものがあります：
- 防火扉: 火災時に煙や熱を感知し、自動的に閉鎖する扉
- 防火シャッター: 同様に煙や熱を感知し、自動的に閉鎖するシャッター
- 耐火クロススクリーン: ガラスクロス製の耐火クロスを使用したスクリーン
- ドレンチャー: 水幕を形成する防火設備
これらの防火設備は、定期的な検査が必要であり、異常がないか確認するために専門家による点検が求められます。
防火設備定期検査の実施方法と周期
検査の具体的な実施方法
防火設備定期検査は、火災時に防火設備が確実に作動することを確認するために行われます。具体的な検査方法には、以下のような項目が含まれます 。
- 駆動装置の確認: 防火シャッターや耐火クロススクリーンの駆動装置が正常に作動するかを点検します。腐食や損傷、異常音がないかを目視や聴診、触診で確認します。
- 危険防止装置の確認: 防火シャッターや耐火クロススクリーンに装備されている挟まれ防止装置が正常に作動するかを確認します。
- 連動機能の確認: 煙や熱感知器が正常に作動し、連動して防火設備が閉鎖するかを検査します。
- カーテン部の確認: 耐火クロススクリーンのカーテン部が劣化や損傷していないかを確認します。
これらの検査は、専門知識を持った検査資格者が実施し、検査結果を報告書にまとめます。
検査周期と報告義務
防火設備定期検査の周期は建築基準法に基づき、1年に1回の実施が求められます。また、検査結果は所管の特定行政庁に報告する義務があります。この報告により、防火設備が適切に維持管理されているかが確認され、万が一の火災時にも防火設備が確実に作動することが保証されます。
防火設備定期検査の費用について
検査費用の相場とポイント
防火設備定期検査の費用は、建物の規模や検査項目によって異なります。一般的には数万円から十数万円の範囲で、以下のような要因が費用に影響します。
- 建物の規模: 建物が大きいほど検査項目が増え、費用も高くなります。
- 検査項目の数: 防火扉、防火シャッター、耐火クロススクリーン、ドレンチャーなど、検査対象設備が多いほど費用がかかります。
- 業者の選定: 複数の業者から見積もりを取り、比較することが重要です。信頼できる業者を選ぶことで、適正な価格で質の高いサービスを受けることができます。
検査費用の見積もりを依頼する際には、詳細な項目を確認し、不明な点があれば質問して明確にしておきましょう。
まとめ
防火設備定期検査は、建物の安全性を確保するために欠かせない重要な手続きです。定期的な検査と報告を通じて、防火設備が適切に機能し、火災時に建物利用者の安全を守ることができます。以下に、本記事で取り上げた重要なポイントをまとめます。
- 防火設備定期検査の概要と背景: この検査は、2016年に建築基準法の改正により創設されました。誕生の背景には、2013年の福岡市での大規模火災がありました。この火災の原因には、法令違反や防火設備の不具合が含まれており、防火設備定期検査の重要性が浮き彫りになりました。
- 検査対象となる建築物と防火設備: 検査対象には、特定建築物や200㎡以上の病院、診療所、高齢者施設などがあります。対象となる防火設備には、防火扉、防火シャッター、耐火クロススクリーン、ドレンチャーなどが含まれます。
- 検査の実施方法と周期: 防火設備定期検査は、専門知識を持った検査資格者によって行われ、駆動装置や危険防止装置、連動機能などが点検されます。検査は1年に1回実施し、結果を特定行政庁に報告する必要があります。
防火設備定期検査を適切に行うことで、火災時に防火設備が確実に作動し、建物利用者の安全を確保することができます。防火設備定期検査でご相談があればぜひヒロ総合メンテナンスにお問い合わせください。
