建築物解体改修前の「建築物石綿含有建材調査者」による調査について

 お知らせにもアップをしていますが、令和5年10月1日以降の建築物の解体等の作業を行うときは、「建築物石綿含有建材調査者」、もしくは令和5年9月30日までに日本アスベスト調査診断協会に登録された者による事前調査を行うことが義務化となります。それ以前の工事でも「建築物石綿含有建材調査者」による事前調査が望ましいとされています。今回は、日本の石綿規制の流れや「建築物石綿含有建材調査者」の資格、石綿障害予防規則(石綿則)について紹介します。

 

日本の石綿(アスベスト)の規制について 

石綿(アスベスト)の規制の流れを簡単に紹介します。石綿規制自体は1970年以降に本格化するようになり、1975年に100gあたりの石綿含有量が5gを超える石綿含有吹付材を用いた吹き付け作業が原則として禁止され、事実上、吹き付け作業はできなくなりました。以降、段階的に規制措置がとられていき、2006年の安全衛生施行令の改正により、石綿製品の全面禁止の措置がとられました。ですので、現時点で新規の建築物には石綿は使用されていませんが、古い建築物などではまだ石綿が使用されており、解体や改修を行う際に調査が必要になっています。

 

<石綿使用箇所>

石綿含有建材は、ビルや公共施設では梁・柱の耐火被覆、機械室等の天井・壁の吸音用等に吹付け材として使用されていることが多いです。以下に大きく分類されます。

 

・鉄骨の耐火被覆材、機械室等の吸音・断熱材、屋根裏側や内壁などの結露防止材としての吹付け材

・鉄骨の柱、梁等の耐火被覆成形板

・天井等の吸音・断熱及び煙突の断熱としての断熱材

・天井・壁・床の下地、化粧用内装材、天井板、外装材、屋根材等の成形板

・その他、建材以外でも自動車のブレーキ、高圧電線の絶縁材、各種シーリング材等に使用されています。

 

 建築物石綿含有建材調査者とは

建築物における石綿の使用を事前調査するための資格です。そしてその役割は、建物の解体や改修の際に、石綿を含む建材等の有無を調査することです。建築物石綿含有建材調査者の資格を取得するには、建築物石綿含有建材調査者講習を受講し、修了する必要があります。ヒロ総合メンテナンスでもこちらの「建築物石綿含有建材調査者」の講習を受講し資格を取得しています。

 

建築物石綿含有建材調査者の資格の種類は下記の3つです。

 

<建築物石綿含有建材調査者の種類>

1、一般建築物石綿含有建材調査者

一般建築物石綿含有建材調査者の講習を修了した者で、全ての建築物の調査を行なえます。

2、一戸建て等石綿含有建材調査者

一戸建て住宅・共同住宅の内部に限った調査(共有部分は除く)を行うことができます。

3、特定建築物石綿含有建材調査者

一般建築物石綿含有建材調査者の講習内容に加えて、実地の研修や試験を追加したもので、全ての建築物の調査を行うことができます。

 

ヒロ総合メンテナンスで取得したのは「建築物石綿含有建材調査者」で、すべての建築物の調査を行うことが可能です。

 

石綿障害予防規則とは 

今回、建物の解体・改修を行う際に、「建築物石綿含有建材調査者」の有資格者の事前調査が義務化となりますが、その前提になる「石綿障害予防規則」について紹介したいと思います。

 

石綿障害予防規則は、通称である「石綿則」としても知られています。この規則は、石綿作業に従事する労働者の健康を保護し、石綿による健康被害を予防するために平成17年2月に制定されています。

 

<石綿障害予防規則の一般的な内容として>

 

・石綿作業の届出・許可制度
→石綿作業を行う事業主は、事前に厚生労働局に対して届出を行い、許可を受ける必要があります。石綿作業の種類や規模に応じて、届出や許可の手続きが定められています。

 

・石綿作業の実施基準の取り決め
→石綿作業における労働者の曝露を最小限に抑えるための基準が設けられています。これには、作業場の設備・装置、排気・通風設備、個人防護具の使用、清掃・廃棄物処理の方法などが含まれます。

 

・労働者の健康監視
→石綿作業に従事する労働者は、健康監視の対象となります。これには、入職時の健康診断、定期的な健康診断、職業性肺がん検診などが含まれます。

 

・教育・訓練
→石綿作業に従事する労働者への教育と訓練が求められます。石綿のリスクについての知識や作業方法、個人防護具の適切な使用などが含まれます。

 

詳しくは厚生労働省のHPをご覧ください。

 

法令改正の背景として

石綿障害予防規則は、石綿作業を行う事業主や労働者の健康と安全を保護するために重要な法規制として制定されたものの、石綿則で義務付けられている作業開始前の石綿含有の有無の事前調査など、建築物の解体・改修工事を行う際に必要な措置が実施されていない事例がでてきてしまいました。そこで、解体・改修工事における石綿による健康障害を防止するため、令和2年(2020年)7月に石綿則が改正されました。この改正により、解体・改修工事開始前の調査の義務化や届出の拡大、作業にかかる措置の強化がされています。今回の「建築物石綿含有調査者」による事前調査も規則改正で義務化しました。

 

まとめ

ヒロ総合メンテナンス合同会社では「建築物石綿含有建材調査者」の資格を持つスタッフが在籍しております。建築物の解体・改修の際の石綿(アスベスト)使用の事前調査はぜひご相談ください。

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