施設の安全性を確保する「特定建築物定期調査」とは?

好きな本を好きな時に借りられる図書館、楽しくスポーツすることが出来る体育館、買い物が楽しめるショッピングモール。もしも地震や火事などの発生により、日常の生活に溶け込んだそのような大型の施設が壊れてしまったら…考えるだけでゾッとしますよね。そのような事態を未然に防ぐには、定期的な点検が必要となります。

今日は大型の建築物に課せられている「特定建築物定期調査」についてみていきます。

 

大型の建物は安全性が高くなくてはならない

多くの人が利用する建物は、安全性が保たれていなくてはなりません。たとえば大きな地震が発生したとします。新しく出来たばかりの建物ならば構造が最新かつ老朽化も起こしていないため、倒壊や損壊といった事態が発生する可能性も低いでしょう。

ところがこの建物が何十年も前に建てられたものでまったく点検やメンテナンスがされていなかったら、非常に大きな事故・災害につながる可能性が高くなります。もしも壁や柱に大きな傷みが発生していたら…もしも防火設備がいざという時に正しく作動しなかったら…といった懸念があります。

たとえば東京都が公表している「南海トラフ巨大地震等による被害想定
(https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/torikumi/1000902/1000402.html)」では、東京をはじめ群馬、栃木、埼玉といった関東圏で、大きな被害が発生することが予測されるとしています。

公共の施設である体育館や博物館・図書館、ショッピングモールやホテル、病院などといった広大な床面積で多くの人が往来する施設は、構造の老朽化や設備の劣化を早期に発見し工事や改装を行う必要があるのです。

 

建築基準法により安全性の維持が定められている

建物というのは災害が発生した際に甚大な事故を発生させないために、建築基準法や消防法などにより安全性を維持することが定められています。なかでも体育館やホテルといった大きな建物、多くの人が利用する公共施設などでは、より厳しい基準により安全性のチェックが行われるのです。それが建築基準法第12条により定められている「特定建築物定期調査」です。

 

特定建築物定期調査とは?

 

ではここから大きな建物の安全性を担保するとも言える「特定建築物定期調査」について詳しく説明していきます。まずはこの調査の概要からです。

特定建築物定期調査というのは、大規模で公共性の高い建築物の安全性について調査するものです。このような建物は利用者の安全が確保されなければならないので、建築物が法に適した状態であるかどうかを定期的にチェックし、その結果を速やかに地方自治体に報告しなければなりません。

特定建築物に該当するのはどんな建物?

では、特定建築物とは法律上どのようなものを言うのでしょうか?特定建築物とは、特殊建築物などの多くの人が利用する建築物や事務所のことで、国や地方自治体が定期的な調査を所有者に課さなければならないものを指します。特殊建築物というのは体育館や病院、集会場といった大人数が利用する建物のことです。これらは通常の建物と違う構造・設備を有している場合が多いので、築年数の経っているものだと、老朽化していたり設備に不具合が発生していたりすることがあります。よって定期的な調査と報告が求められるのです。

 

特定建築物定期調査の調査項目は?

では特定建築物定期調査ではどのようなことを調査するのかについてみていきます。

主に調査対象となる項目は「建物の外回り」「屋上や屋根」「敷地・地盤の状況」「建物の内部」「避難設備や非常口」などとなります。

建物の外回り

主に土台を調査します。土台に劣化や損傷がないか?木造の場合、腐食していないか?接合する金属物に錆が発生していないか?などを、目視またはハンマーを用いた打診により調査します。

屋上や屋根

屋上や屋根に使用されているモルタルにひびが入っていないか?白華と呼ばれる白い吹出物が発生していないか?などを、目視またはハンマーを用いた打診により調査します。

敷地・地盤の状況

地盤沈下により不陸や傾斜になっていないかどうかを、建物周辺の陥没具合を判断基準とし調査します。主に目視による調査となります。

建物内部

天井に使用されている材料に浮やたわみがないか?仕上げ材に劣化や損傷がないか?といったことを、双眼鏡を用いたり打診したりして調査します。

避難設備や非常口

災害や事故が発生した場合の避難経路に、避難の妨げとなる物が放置されていないか?ということを調査します。

 

もしも調査や報告を怠ったらどうなる?

特定建築物定期調査の通知は、毎年対象となる建物およびその所有者に、国や地方自治体から調査と報告の通知が送付されます。

もしもその調査と報告を怠ってしまうと、建築基準法違反となり100万円以下の罰金が科せられる場合があります。これは虚偽の報告をしても同じです。

また報告をしていない建物で事故や災害が発生してしまうと、刑法や民法により罰せられることとなります。

 

しっかりとした調査・報告なら、有資格者に依頼しましょう

以上のように、しっかりと調査・報告をしないと厳しい罰則を受ける可能性もある特定建築物定期調査。より実効性を確保したいならば、関連資格を有している調査員に依頼をしましょう。

以前は省令で定められた講習を修了した者ならば特定建築物定期調査に携われましたが、より厳しい基準が適用されるようになりました。現在は「一級建築士」や「二級建築士」、もしくは建築物調査証の交付を受けている人しか、特定建築物定期調査に携わることが出来ません。また、虚偽の調査報告を行った場合の罰金や返納命令などといった処分基準が明確になっています。

 

まとめ

多くの人が利用する大型の建築物や施設は、もしも大きな地震が来たとしても、倒壊や損壊を起こすようなことがあってはなりません。そのためには構造の老朽化を、早期発見・早期改修を行う必要があります。

そんな安全性を確保するためにあるのが「特定建築物定期調査」です。この調査は国や地方自治体が所有者に課すもので、図書館や病院、百貨店といった大きな建物に不具合がないか?いざという時の設備が正常か?といったことを定期的に調査するものです。

具体的には、建物の屋根や周辺に損傷がないか?地盤に傾きがないか?避難設備は正常か?といったことを点検・調査します。

この調査を怠ったり虚偽の報告をしたりすると、罰金が科せられるといった処罰を受ける場合があるので、きちんと調査しなければなりません。そのためには関連資格を有している調査員に依頼するのが確実です。

栃木県にあります「ヒロ総合メンテナンス合同会社」では特定建築物定期調査・建築設備定期検査・防火設備定期検査を行っております。栃木県だけでなく茨城・群馬・福島・千葉・埼玉・東京都といった関東圏の建物の調査を承っておりますので、お気軽にお問合せください。

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