全面打診外壁調査の範囲と内容とは?詳しくご紹介

建物の外壁に対して、全面打診外壁調査というものが義務付けられています。それ自体は知っているものの、具体的な目的や内容について理解されていないオーナーの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。意味があって行う調査ですので、理解しているということは大切です。そこで今回は、全面打診外壁調査の範囲や内容についてご紹介します。

全面打診外壁調査とは

 

建物の外壁には、さまざまな材質のものが使用されています。それぞれに特徴がありますが、問題となるのは損傷や経年による劣化です。外壁は建物を外的要因から守るためのものですが、劣化や損傷をすることによって剥がれ落ちてしまうことがあります。その結果、周辺の歩行者や車などにダメージを与えてしまったり、怪我をさせてしまったりする恐れがあるのです。

新築の状態であれば当然問題はないでしょうが、定期的に状態を確認しなければ事故は防ぐことができません。そのためにもともと外壁調査に関する法令が存在していましたが、より安全性を高めるために平成20年4月1日より、全面打診外壁調査の実施が義務付けられたというわけです。

外壁であれば必ず調査をしなければならないというわけではありません。まずは対象となる範囲を見極める必要があります。その基準となるのは、『落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分』であるかどうかです。

その範囲の考え方としては、『横1:縦2』というもので、建物の高さを2とした場合に横に1の斜線を引いた範囲ということになります。実際には外壁部分が平らになっている建物はあまりなく、ほとんどの場合凹凸があるでしょうから算出は容易ではありませんが、おおむね範囲の特定ができるでしょう。

調査条件

調査対象となる範囲の他に、条件というものがあります。外壁であれば必ず全面打診外壁調査をしなければならないかというとそうではなく、あくまでも条件を満たしている場合にのみ、その義務が課せられているのです。条件の詳細は以下の通りです。

 

外壁材の条件

まずは外壁材の条件ですが、大きく分けてタイル貼り、石貼り、ラスモルタルの3種類の外壁材が対象となります。建物の外壁がこれらの素材であった場合には、目視によって状態を確かめましょう。見てわかるほどひび割れが発生しているようであれば、歩行者に危害を加えてしまう恐れがありますので調査の対象となります。

築年数や改修工事等の条件

まずは、建物が竣工してから10年以上経過しているかどうかが条件の始まりとなります。そのうえで外壁の改修工事、あるいは歩行者に危害が加わってしまう恐れのある外壁で、全面打診外壁調査を10年以上行っていないということであれば、3年以内に全面打診外壁調査を実施しなければなりません。

一部例外条件

先述の通り、10年以上全面打診外壁調査を実施していない場合であっても一部の例外というものが存在します。まずは3年以内に外壁改修工事を実施する予定がある場合です。全面打診外壁調査をする前に改修工事によって危険がなくなるということであればいいというわけです。

 

調査の流れ

全面打診外壁調査を行う際には、大まかに以下の流れで実施します。

 

現場調査

まずは外壁に関する現場での調査です。外壁の劣化に影響する日射状況にはじまり、このあと赤外線カメラでの撮影を行うことになるため、その設置位置に関しても確かめます。目視での確認でもわかることは多いので、下見と調査を兼ねて実施されることになります。

外壁撮影

続いて外壁を赤外線カメラによって撮影します。現地調査の際に決めた位置にカメラを設置し、必要な分だけ撮影を行うのです。それと同時に、カメラでは撮影できない箇所や手が届く範囲に関しては、打診棒というアイテムを使用して打診調査を行うことになります。

また表面のひび割れ等に関しては、目視でチェックをし、ビルなどの場合は目視が難しいため、双眼鏡を用いたりもします。撮影完了後は、撮影した画像の解析です。

報告書の作成

最終的に調査結果をまとめた報告書を作成します。建物の概要や調査会社名や責任者名、調査日時だけでなく天候までも記載することになるのです。損傷が見受けられた場合にはそれを図にして記載し、赤外線カメラで撮影した画像に関しても台帳を作成します。代表的な損傷や調査時の写真も同時に報告書に添付します。

 

調査における注意点

全面打診外壁調査をする際の注意点としては、定期報告の対象が地域によって異なるということが挙げられます。全国どこでも同じ基準であれば理解しやすいかもしれませんが、実際にはそうではありません。都道府県などによって定期報告の対象となる建物に違いがある場合があるので、調査前にまず対象の建物であるかの確認からするといいでしょう。

基本的には映画館や病院、百貨店などの大規模な施設が該当します。建物の規模が大きいことによって外壁の面積も大きくなるため、損傷などによって歩行者に危害が加わってしまう可能性が高くなります。また人が多く利用する施設ですと、万が一の際に怪我などをさせてしまう可能性が高くなりますので、代表的な調査対象となっているのです。

そして調査条件を満たしたかどうかの確認も重要です。条件を満たしたと分かれば、あとは調査を実施するだけですので忘れてしまうことはないでしょう。しかしそもそも条件を満たしたことに気が付かなければ、いつまでも調査をしないままになってしまいます。そうならないために、所有する建物が全面打診外壁調査の対象にいつなるのかを把握しておくようにしましょう。

 

まとめ

竣工や改修後の10年を超えたタイミングや、手が届く範囲で問題が見受けられた場合など、条件に当てはまった場合には全面打診外壁調査を行わなければなりません。調査を行うことで外壁が崩れて事故が発生する前に対処することができるようになりますので、しっかりと対応するようにしましょう。

経験豊富なプロによる調査が求められますので、調査をされるということであれば「ヒロ総合メンテナンス合同会社」にお気軽にご相談ください。

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