建物の定期報告は、建物の所有者や管理者が必ず行わなければならない定期点検の報告です。ですが、地域によって対象となる建築物や、報告する時期が変わるため、混乱してしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は茨城県の定期報告制度について、詳しく解説していきます。
建物の定期報告とは?
2016年の建築基準法改正で新たに導入されたのが「定期報告制度」で、一定条件を満たす建築物の保有者・管理者に対して「専門技術を有する資格者による建築物等の調査・検査の実施と特定行政庁への検査結果の報告」が義務付けられました。
建築確認や完了検査などで使用前に建築物を確認しますが、多数の犠牲者が出る火災事故が頻発し「使用中の建築物が適法性を維持しているか?」が問題視され、特定建築物・建築設備・防火設備・昇降機や遊戯施設等に対する定期検査が必要だと判断されました。
そのため、現在では建物の所有者や管理者は、何年かおきに建物の定期報告を行わなければなりません。
特定建築物定期検査
全6項目が検査対象となる特定建築物定期検査では次表の項目・方法・基準で一級・二級建築士か特殊建築物調査員の有資格者が検査対象を調査します。
調査項目 | 調査方法 | 判断基準 |
敷地及び地盤 | 目視 | 建物周辺地盤の安全性を損ねる凹凸や傾斜などの有無や敷地内通路の適法性等 |
建築物の外部 | 目視・テストハンマー等での打診・赤外線カメラ等 | 基礎や木造土台、接合部や外壁の腐食や損傷の有無や広告版や室外機等の設置状況 |
屋上及び屋根 | 目視やテストハンマー等での打診 | 屋上や屋根のひび割れ・白華の発生などでの劣化や損傷の有無やパラペット・笠木・ドレーンなどの排水関係の状況 |
建築物の内部 | 目視やテストハンマー等での打診 | 防火区画や壁・床・天井の耐火性能の劣化・損傷・剥落等の有無や防火設備検査や特定天井の適法性 |
避難施設等 | 目視 | 避難経路となる廊下・通路・出入り口・バルコニー・階段等の物品放置の有無や排煙設備等の適法性 |
その他 | 目視 | 避雷設備や煙突などの適法性 |
建築設備定期検査
一定規模以上の集会場・劇場・病院・福祉施設・ホテル・共同住宅・学校・店舗など、多くの人が利用する特定建築物に該当する建築物に次の設備が設置されている場合は、建築設備定期検査の対象となり設備検査を毎年実施する必要があります。
検査の対象となる設備としては以下となります。
・自然換気設備以外の換気設備(第1種機械換気設備・中央管理方式の空気調和設備)
・排煙機又は送風機を有する排煙設備
・非常用照明装置
・給水タンクを設ける給水設備及び排水設備
建築設備検査は建築施設検査資格を持つ建築設備検査員によって、
・排気設備の排気量確認
・排煙装置の排煙好口作動状況や運転時の排煙状況確認
・非常用照明装置の外観検査や照度検査
・給水設備や排水設備の配管設備の腐食状況確認
などが行われる検査です。
防火設備定期検査
特定建築物に該当する建築物や特定建築物以外の病院・入院施設のある診察所・合計面積200平方メートルを超える就寝施設のある高齢者・障碍者施設に設置された防火設備は防火設備検査の対象となります。
検査対象となる防火設備には防火扉・防火シャッター・耐火クロススクリーン・ドレンチャー・その他の水幕を形成する防火設備が該当し、これら設備も建築設備同様に毎年検査を受けることが義務付けられています。
防火設備定期検査は建築整備検査資格のなかで一級・二級建築士か防火設備検査員の有資格者が行う必要があり、防火設備検査員は上記の対象設備の検査と共に火災発生時に延焼を防止する防火区画や避難経路の確保を行う設備の作動状況の検査も行います。
昇降機・遊戯施設等の定期検査
住戸内のみを昇降する昇降機や労働安全衛生法施行令第12条第1項第6号で規定する工場などの専用エレベーター以外の昇降機や可動式の乗用遊戯施設等の準工作物は毎年昇降機・遊戯施設等の定期点検を受けることが義務付けられています。
昇降機定期点検の対象として該当するものとして、エレベーター・エスカレーター・フロアタイプの小荷物専用昇降機が挙げられます。
また遊戯施設等の定期点検の対象として該当するものには準工作物である観光用エレベーター・エスカレーターの他に、メリーゴーランドや観覧車等の回転運動を行う遊戯施設が挙げられます。
昇降機・遊戯施設等の定期検査は建築整備検査資格のなかで一級・二級建築士か昇降機等検査員の有資格者が行う必要があり、昇降機等検査員は上記の対象設備が安全に使用できる状況であるのかの点検を行います。
定期報告をしなければならない対象の建物は?
一定規模以上の集会場・劇場・病院・福祉施設・ホテル・共同住宅・学校・店舗など、不特定多数が利用する建物が特定建築物に該当することは既に紹介したとおりです。
具体的にどのような建物が特定建築物に該当し、定期点検の実施・点検結果報告が義務付けられているかは次表に記す通りです。
建物の用途 | 特定建築物に該当する階層 |
---|---|
劇場・映画館・演芸場 | 地階・三階以上 |
屋外観覧場以外の観覧場・公会堂・集会場 | 地階・三階以上 |
入院施設のある病院・診療所 | 地階・三階以上 |
ホテル・旅館 | 地階・三階以上 |
特殊建築物は国が政令で指定するものと特定行政庁が指定するものの2つに大別され、用途・床面積で測る規模・対象物の位置などで特殊建築物に該当するかの判断が行われます。
不特定多数が利用する大規模施設や火災などの災害発生時に非難が困難となると考えられる階層や就寝施設を有する施設などが特殊建築物に該当し、上記のとおり地階及び三階以上の階層は非難が困難となるため特殊建築物に指定されます。
児童福祉施設等・学校又は学校に付属する体育館・五階以上で延べ面積1,000平方メートルの事務所などは政令で指定されていませんが、特定行政庁によって特殊建築物に指定されます。
また高齢者・障碍者向けの共同住宅や寄宿舎は就寝施設を有する施設であるため、法改正によって政令で指定される特殊建築物に加えられましたが、特殊行政庁が指定する特殊建築物は特殊行政庁によって用途や規模が異なります。
茨城県で定期報告を行う時期
茨城県内の特定建築物・建築設備・防火設備・昇降機や遊戯施設等の定期点検は次表で挙げる時期に定期点検結果を担当する特殊行政庁に報告することが義務付けられています。
対象施設 | 点検実施周期 | 報告時期 |
建築設備 | 毎年 | 検査済証交付
・平成5年12月31日以前:3月30日 ・平成6年1月1日以降:検査月の末日 |
防火設備 | 毎年 | 検査済証交付月の末日 |
エレベーター | 毎年 | 検査済証交付
・平成5年12月31日以前:3月30日 ・平成6年1月1日以降:検査月の末日 |
エスカレーター | ||
小荷物専用昇降機 | 検査済証交付月の末日 | |
遊戯施設 | 検査済証交付
・平成5年12月31日以前:3月30日 ・平成6年1月1日以降:検査月の末日 |
定期報告の提出先は?
茨木県では水戸市・日立市・土浦市・古河市・高萩市・北茨城市・取手市・つくば市・ひたちなか市の9市が特定行政庁に位置付けられ、9市内の施設の定期点検報告は各市役所担当課に提出し市長宛に行います。
上記9市以外の施設の定期点検報告は土木部都市局建築指導課県央建築指導室又は各県民センター建築指導課に提出し茨木県知事宛に行います。
茨城県の定期報告の手数料
茨木県の公式サイトで確認できる限りでは特定建築物・建築設備・防火設備・昇降機や遊戯施設等に対する定期検査報告に対する手数料の存在は確認できません。
ですので、茨城県では、定期点検を依頼する業者の検査料金や報告代行手数料のみで定期点検報告を行えます。
茨城県での定期報告の事例①
建築物の外部調査
防火扉検査
茨城県の病院で特定建築物定期調査を行いました。
茨城県での定期報告の事例②
建築物の外部調査
屋上調査
茨城県で特定建築物定期調査を行いました。
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