埼玉県の定期報告制度について。手数料や検査時期についてご紹介

不特定多数の人が利用する建築物(特殊建築物)は、不備があると事故や災害の原因となり、また災害が発生した場合に被害が拡大してしまいます。
このような危険を未然に防止し、安全に建物を使用するためには、建築物を定期的に点検することが大切です。
ですが、運用が都道府県・市町村等に委ねられているため、報告年度や報告内容に違いがあり、難しい部分も多いかもしれません。
そこで、今回は埼玉県の定期報告制度についてまとめました。

建物の定期報告とは?

「建物の定期報告」とは建築物・建築設備・防火設備・昇降機等のついて、その施設安全保持を目的として、その所有者・管理者が、専門家にあらかじめ定められた調査基準・項目にもとづいて専門家に調査・検査をさせ、その結果を特定行政庁に報告することを建築基準法によって義務づけたものです。不具合事項については改善する規定があります。

特定建築物定期検査

「特定建築物」の定期調査項目は基本的に建物全体の調査となりますが、大きく6項目に分けられます。それらを表にして解説いたします。

調査項目 調査方法 調査項目
敷地及び地盤 目視 土地面積・地盤沈下・排水・堀や擁壁の状況など。
建築物の外部 目視。築10年を超えた建物は外壁の打設診断。 基礎・外壁状況・窓周り・看板などの劣化度。
屋上及び屋根 目視。 屋上や屋根周りの劣化度。屋上設置の機器や看板などの劣化も重要調査項目です
建築物の内部 目視・双眼鏡・テストハンマーによる打診。 床・壁・天井、防火設備やアスベストなどの診断
避難施設等 目視。排煙設備や非常用照明は実際の動作確認。 避難通路の確保・避難階段の状況・排煙設備・非常用照明など。
その他 目視 避雷針や特殊構造部分など。

 

判断基準は項目により異なりますが、基本は「要是正」「重要点点検」「指摘無し」となります。特に劣化がひどいと思われる項目については詳細の調査を行う場合もあります。

建築設備定期検査

建築設備定期検査の対象となる設備は「特定建築物」に設けるものの中にある設備が対象となり、大きく分けて次の4つが定められています。

・「換気設備」但し、自然換気設備及び共同住宅の住戸に設けるものは除外されています。 ・「機械排煙設備」これは火災が起きた時に煙を外に出す設備を指します。 ・「非常用照明装置」建物の電気が遮断された際に自動的に非常電源に変わり室内や通路を照らす照明を指します。 ・「給排水水設備」但し共同住宅の住戸に設けるものを除きます。

以上からわかるように建築設備定期検査の対象となる設備は非常時に建物内に居る人の安全を確保するための設備です。

防火設備定期検査

「特定建築物」内にある防火設備が対象となり、定期検査の対象となる設備は大きく4つに分けられます。 その前に、まず防火設備とは炎を遮る構造を持つもので「国が政令で定められた基準に適合しているもの」「国土交通大臣が定めた構造方法を用いているか大臣認定を受けたものとされています。

・「防火扉」火災時などに煙感知器と連動して自動的に閉鎖される扉です。 ・「防火シャッター」防火扉と同じく火災時などに煙感知器と連動して自動的に閉鎖されるシャッターです。  ・「耐火クロススクリーン」防火・耐煙機能を持った布状のスクリーンで同じく煙感知器と連動して自動的に閉鎖します。 ・「ドレンチャー他」水膜を形成する防火設備。いわゆるスプリンクラー。天井の奉仕ヘッドから水膜を噴射して防火するドレンチャーのことです。

昇降機・遊戯施設等の定期検査

昇降機とはエレベーター・小荷物専用昇降機を指します。つまり人を運ぶだけではなく荷物を運ぶ小規模なものも含みます。
定期検査では一級建築士・二級建築士・昇降機等検査員ね6ヶ月~1年ごとに、国土交通大臣が定める基準に適合しているかを検査します。検査項目ごとに「要是正」「重要点点検」「指摘なし」の判断項目があります。「要是正」の判断がされた場合には是正しないと罰則の規定があります。検査ごとに定期検査報告済証が発行され通常、エレベーター内の操作盤上部の見えやすい位置に貼られています。

参考URL : 一般財団法人 日本建築設備・昇降機センター

定期報告をしなければならない対象の建物は?

定期報告が必要となる対象建築物を特定建築物と呼ばれています。特定建築物は建築基準法において、その建築物の用途とその規模により細かく規定されています。8つの用途が対象となります。
不特定多数の人が出入りするほとんどの建築物が定期報告が必要となる「特定建築物」であるといえます。

用途 規模・階(いずれかに該当するもの)
劇場・映画館・演芸場 ・床面積が200㎡を超えるもの。 ・3階以上の階の床面積の合計が100㎡を超えるもの。 ・主階が1階にないもの。 ・客席の床面積が200㎡を超えるもの ・地階にあるもの
観覧場・公会堂・集会場、病院・診療所、自動福祉施設等 ・床面積が500㎡を超えるもの。 ・3階以上の階の床面積の合計が100㎡を超えるもの。 ・主階が1階にないもの。 ・客席の床面積が200㎡を超えるもの ・地階にあるもの
共同住宅・寄宿舎 ・6階以上の階にあるもの ・3階以上の階にあるもの ・2階の床面積の合計が300㎡以上のモノ ・地階にあるもの
学校・体育館 ・床面積の合計が 2,000 ㎡を超えるもの ・3階以上の階の床面積の合計が100㎡を超えるもの ・床面積の合計が 2,000㎡のもの
博物館・美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳またはスポーツの練習場 ・床面積の合計が 2,000 ㎡を超えるもの ・3階以上の階にあるもの ・床面積の合計が2,000㎡のもの
物品販売業を営む店舗・百貨店マーケット又は展示場 ・床面積の合計が 1,500 ㎡を超え、かつ、2階以上の階にあるもの ・3階以上の階にあるもの ・2階の床面積の合計が500㎡以上のもの ・地階にあるもの
キャバレー・カフェ・ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店又は飲食店 ・地階又は3階以上の階にあるもの ・床面積の合計が 1,500㎡を超え、かつ、2階にあるもの ・床面積の合計が3,000㎡以上のもの ・2階の床面積の合計が500㎡以上のもの
事務所その他これに類するもの ・床面積の合計が2,000㎡を超え、かつ、6階以上の階にあるもの

 

埼玉県で定期報告を行う時期

特定建築物定期検査・建築設備定期検査・防火設備定期検査によってそれぞれ異なり、各特定行政庁の建築基準法施行細則の規定によります。埼玉県の場合は以下の表の通りです。

特定建築物定期検査 建築確認の検査済証交付日から2年または3年の免除。一回目報告期限はその免除期間完了後2年または3年間が期限となります。二回目以降は前回報告後から2年または3年以内の報告が必要となります。
建築設備定期検査 建築確認の検査済証交付日から1年間の免除。免除期間完了後は毎年一回の報告となっています。
防火設備定期検査 各特定行政庁の建築基準法施行細則の規定により、毎年 1 回の報告となっています。
遊戯施設の工作物 「使用期間が連続して6月以内」については翌年の使用開始の日からその日前1月の間が第1回目の報告時期となります。
それ以外については、「直後の時期」は、検査済証交付後最初の 4 月又は10月を指している と解釈し、その次の 4 月又は 10 月が第 1 回目の報告時期となります。

参考:定期報告が必要となる 建築物・建築設備・防火設備・昇降機・工作物

定期報告の提出先は?

報告書は検査・調査を行った資格者がその結果報告書を特定行政庁からの委託を受けた一般財団法人埼玉県建築安全協会に提出し、形式検査・予備検査を行った上で各特定行政庁に送付します。
提出先は届出建築物所在により、かつ報告書によって異なります。
「特定建築物」「建築設備」については市町村ごとに決められた川越・熊谷・越谷の各安全センターが受付窓口となります。
「昇降機」「遊戯施設」の報告書については、埼玉県・さいたま市・川口市・川越市・所沢市など13の各市町村建築指導課が各市町村ごとの窓口になっています。

埼玉県の定期報告の手数料

「特定建築物」「防火設備」「昇降機」「建築設備」によって異なります。以下表にてまとめます。

特定建築物(1棟ごと)
延べ面積 事務手数料(税込)
1000㎡以内のもの 4,180円
1000㎡を超え5000㎡以内のもの 5,600円
5000㎡を超え10000㎡以内のもの 7,630円
10000㎡を超えるもの 10,180円
防火設備(1棟ごと)
延べ面積 事務手数料(税込)
3000㎡以内のもの 3,300円
3000㎡を超え10000㎡以内のもの 5,500円
10000㎡を超えるもの 8,800円
昇降機(1台ごと)
種別 事務手数料(税込)
エレベーター 2,540円
エスカレーター 1,520円
小荷物線用昇降機 1,010円
遊戯施設 2,030円
建築設備(1棟ごと)
建築設備の数 事務手数料(税込)
1種類 2,030円
2種類 4,060円
3種類 6,090円
4種類 8,120円

参考URL:一般財団法人 埼玉県建築安全協会:定期報告事務手数料について|一般財団法人 埼玉県建築安全協会(公式ホームページ)

定期報告書の記入要領

定期報告書は一般財団法人埼玉県建築安全協会のサイトからダウンロードすることができます。詳しい記入要領は公式サイトをご覧ください。
ヒロ総合メンテナンス合同会社では、現地調査・検査後、内容を報告書にまとめ、定期報告書の記入から提出までを承っております。お客様に記入いただくのは押印のみ。

報告書に所有者様または管理者様のご印鑑を押印いただき、受付後に受付印が押された控えをファイリングしご返却いたします。

参考:一般財団法人 埼玉県建築安全協会(公式ホームページ)

埼玉での定期報告の事例①

建築物の外部調査

屋上調査

埼玉県の老人保健施設で特定建築物定期調査を行いました。

 

埼埼玉での定期報告の事例②

建築物の外部調査

屋上調査

埼玉県の病院で特定建築物定期調査を行いました。

 

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