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新たな定期報告制度について

福山市のホテル火災、長崎市のグループホーム火災、福岡市の診療所火災など、多数の死者が出る火災事故が続いています。
これらの事故において被害が拡大した原因の一つとして、建築物が適法な状態で管理されていなかったことが掲げられていますが、こうした事態を踏まえ、今般、建築基準法を改正し(建築基準法の一部を改正する法律(平成26年法律第54号))、平成28年6月1日から、新たな制度が施行されることとなりました。

建築基準法における定期報告制度

建築基準法第12条においては、

  1. 建築物
  2. 建築設備(給排水設備、換気設備、排煙設備、非常用の照明装置)
  3. 昇降機等
  4. 防火設備(平成26年6月1日から)について、経年劣化などの状況を定期的に点検する制度が設けられている。

定期報告の対象となる建築物等

今までは、地域の実情に応じ、特定行政庁(建築主事を置く地方公共団体)が報告の対象を定めていました。
今回の改正により、避難上の安全確保等の観点から、

  1. 不特定多数の者が利用する建築物及びこれらの建築物に設けられた防火設備
  2. 高齢者等の自力避難困難者が就寝用途で利用する施設及びこれらの施設に設けられた防火設備
  3. エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機

を国が政令で一律に報告の対象としました。

特定建築物定期調査(旧特殊建築物)とは

特定建築物の定期調査は、「建物全体」の調査ということになります。全体の調査になるので、各行政では3年に1回の報告としているところが多いですが、2年に1回や、用途によっては毎年報告という行政もあります。

具体的な調査項目は、大きく以下のように分類されています。

  1. 敷地及び地盤
  2. 建築物の外部
  3. 屋上及び屋根
  4. 建築物の内部
  5. 避難施設等
  6. その他

調査内容は、建物が建っている敷地から、建物の外部・内部、避難に関わる内容などとなっており、調査項目としては130項目程度に及びます。

建築設備の定期検査とは

建築基準法第12条3項に「特定建築設備等」の定期検査について記載がありますが、これは昇降機と昇降機以外の建築設備について定められている部分で、細かな内容については書かれていません。昇降機(エレベーター)等につきましては、専門のメンテナンス会社が毎月の自主検査や年に1回の定期検査を実施していることが多いことから、弊社では 実施項目から省いております。

昇降機以外の建築設備は大きく分けて4種類あります。

  1. 換気設備
  2. 排煙設備
  3. 非常用の照明器具
  4. 給水設備及び排水設備

「建築設備」の定期検査対象については、国が定める政令での定めはなく、各地の特定行政庁に任されています。その為、建物の所在地の特定行政庁によって、内容が大きく異る場合があります。
対象となる建物の用途や規模についても各特定行政庁で違います。都市部では建物利用者が多いことから比較的多くの用途、より小さな規模の建物まで報告対象になっています。また検査項目については、4種類すべての項目について報告をしなければならないところもありますし、給排水設備だけが免除になっている行政もあります。地方では、そもそも建築設備定期検査の報告義務のないところもあります。また、特定建築物の定期調査時に合わせて建築設備の検査項目もみるというところもあります。

防火設備定期検査とは

近年の火災事故で、防火設備が適切に機能しなかったために被害が拡大したとして、平成28年6月1日施行の法改正で防火設備の定期検査が新設されました。目視での状況確認はもちろんですが、感知器との連動、実際の作動状況を確認することに主眼がおかれています。

対象となる防火設備は主に4つになります。

  1. 防火扉
  2. 防火シャッター
  3. 耐火クロススクリーン
  4. ドレンチャー等

耐火クロススクリーンやドレンチャーといった防火設備が設置されている建物は比較的少ないといえますが、防火扉、防火シャッターは大半の建物に設置されています。ただし、今回の報告対象となる防火設備は「随時閉鎖式」のものとなります。つまり、連動機構などがなく常に閉鎖状態にしてある防火扉は対象となりません。火災時に自動的に閉鎖するものが対象となります。

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