東京での定期報告の手続き方法や手数料などまとめ

 

定期報告は不特定多数の人々が利用する建築物の安全性を維持するために定期的に検査および報告が義務づけられています。
ですが、いざ調査をしようと思っていても、さまざまな種類の検査があったり報告先が異なることが多く悩んでしまう人も少なくありません。
今回は東京都の定期報告について説明させていただきたいと思います。

建物の定期報告とは?

不特定多数の人が利用する建物の管理者には、建物の経年劣化や損傷などがないか定期的にチェックを行い安全性の維持が出来ているか報告する義務があります。
建物の定期報告は「建築基準法第12条点検」として定められており、定期報告を怠ってしまうと100万円以下の罰則や社会的責任を負う可能性もあります。
建物の定期報告は重要ですが、定期報告制度には4種類あり、以下ではそれぞれの内容をを紹介したいと思います。

特定建築物定期検査

特定建築物定期検査は、国が所有・管理を除く特定建築物の敷地や構造強度、防火・避難施設などを一級建築士などの調査者が定期的に調査するものです。
調査個所の用途や規模によっては、毎年3年ごとに調査し、特定行政庁に報告しなければなりません。
主な調査項目・調査方法・判断基準は以下の通りとなります。

調査項目 調査方法 判断基準
地盤の状態 目視 建物周辺に陥没など安全性を損ねていないか
建物外部・土台 目視・テストハンマーによる打診 木材および腐朽接合金物に著しい錆や腐食がないか
屋上周りの状況 目視・テストハンマーによる打診 ひび割れなどに著しい白華(白い生成物が浮きあがっているっ現象)が発生していないか
建物内部・天井 目視・双眼鏡・テストハンマーによる打診 天井や仕上げ材に浮きやたわみといった劣化・損傷・剥落がないか。
避難経路 目視 避難の際に障害となる物品が置かれていないか

 

建築設備定期検査

一定の用途や規模がある建築物の所有者および管理者は、設備の状況を調査し特定行政庁に報告しなければなりません。
対象の建築物は、マンションや病院、ホテルなどの特殊建築物が対象になります。
検査の対象となる設備としては以下となります。

・換気設備
・排煙設備
・非常用照明設備
・給水・排水設備

建築設備定期調査の際には、一級建築士や建築設備検査資格者が調査しますが、特殊建築物調査員資格では建築設備の調査は行えないので注意しましょう。

防火設備定期検査

防火設備定期調査では、火災事故発生の際に被害を最小限に抑えるため、防火施設の維持管理のために行われます。
防火設備定期検査の対象となる設備は以下の4種類となります。

・防火扉
・防火シャッター
・耐火クロススクリーン
・ドレンチャー

防火設備の調査には、主に都道府県における建築士事務所登録されている一級建築士および二級建築士、防火設備検査官が行い、全ての防火設備を作動させます。
また、検査報告に関しては、防火設備の設置数が多い場合でも全て設備を毎年報告しなければなりません。

昇降機・遊戯施設等の定期検査

昇降機や遊技施設が対象となる定期検査で、具体的には以下の設備が対象となります。

昇降機 ・エレベーター
・エスカレーター
・段差解消機
・いす式階段昇降機 など
遊技施設 ・観覧車
・ジェットコースター
・メリーゴーランド
・ウォータースライダー など

 

調査の際には、一・二級建築士に加え昇降機等検査員(旧称:昇降機検査資格者)が調査を行行ったのち特定行政庁に報告する必要があります。
報告期間に関しては、昇降機が毎年、遊技施設などは半年ごとに報告しなければなりません。

定期報告をしなければならない対象の建物は?

 

不特定多数の人が利用する建物は特定建築物として定期報告の対象になりますが、その他にも規模や階数によって定期報告の条件が変わります。

用途 規模・階(いずれかに該当するもの)
劇場・映画館・演芸場 ・地下または3階以上の階で、用途に利用する免責が100平方メートルを超える場合
・用途に利用する面積の合計が200平方メートルを超える場合
・主階が1階に無く用途に利用する面積の合計が100平方メートルを超える場合
観覧場(野外観覧席は除く)公会堂、集会場 ・地下または3階以上の階で、用途に利用する免責が100平方メートルを超える場合
・用途に利用する面積の合計が200平方メートルを超える場合
※平屋建てかつ客席および集会室の床面積の合計が400平方メートル未満の集会所は除きます。
旅館・ホテル ・3階以上の階かつ用途に利用する面積の合計が2000平方メートルを超える場合
百貨店・マーケット・勝馬投票発売所、場外車券売場・物品販売業を営む店舗 ・3階以上階かつ用途に利用する面積の合計が3000平方メートルを超える場合

 

以上は一部ですが、建物ごとの条件に該当する場合、特定建築物の対象となり3年ごとの報告が必要になります。
また、地方自治体ごとに報告対象となる条件が変化する場合が多いので、注意する必要があります。

東京都で対象となる建物はこちらでご確認ください。

東京で定期報告を行う時期

定期報告の報告時期に関しては、特定建築物と建築設備、防火設備、昇降機等で異なります。
特定建築物の報告年度は、建築物の用途や規模により報告時期が異なり以下では建築物の用途と報告期間を挙げています。

用途 報告時期
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場、旅館、ホテル、百貨店、マーケット、勝馬投票券売場、場外車券売場、物品販売業を営む店舗、地下街 など 11月1日から翌年の1月31日まで(毎年報告)
一部の児童福祉施設、病院、診療所、旅館、学校(に附属する体育館)、博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツ練習場 など 5月1日から10月31日まで
(3年ごとの報告)
(令和元年、令和4年...)
百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェ、ナイトクラブ、バーダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店、事務所 など 5月1日から10月31日まで
(3年ごとの報告)
(令和2年、令和5年...)
下宿、共同住宅 など 5月1日から10月31日まで
(3年ごとの報告)
(令和3年、令和6年...)

 

防火施設、建築施設、昇降機の報告時期に関しては、検査済証を受けた日か前回の定期調査報告の日から定期検査報告の時期が定められます。

それぞれの報告時期としては、
防火施設:前年の報告日の翌日から起算し6か月から1年の間隔で報告
建築施設:前年の報告日翌日から起算して1年を経過する日までに報告
昇降機等:前年の報告日翌日から起算して1年を経過する日までに報告(遊技施設などは6か月ごとに報告)
となります。
また、防火設備に関しては、建築物の用途によって報告機関に違いがあるので注意しましょう。

定期報告の提出先は?

建築物の定期報告は主に特定行政庁に提出するように義務付けられていますが、この特定行政庁というのは、建築主事が配置された地域のことを指しています。
建築主事とは、建築確認申請などを処理する公務員の資格を所有している人物を指しており、人口25万人以上の自治体に配置されています。
25万人未満の市区町村は、所在する都道府県が管轄の特定行政庁へ定期報告書を提出する必要があります。

東京都の場合、
特定建築物定期調査、防火設備定期検査報告書→「公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンター」
建築設備定期検査報告→「一般財団法人日本建築設備・昇降機センター」
昇降機等定期検査報告書→「一般社団法人東京都昇降機安全協議会」
が定期報告の提出先となります。

東京都の定期報告の手数料

特定建築物定期検査、建築設備定期検査、防火設備定期検査、昇降機等の定期検査後には報告書を特定行政庁に提出する必要がありますが、それぞれ以下のような手数料が必要となります。

・特定建築物定期検査

報告対象延べ床面積(㎡)
(建築物 1棟につき)
手数料
500㎡以内 4,909円
500㎡を超え、3,000㎡以内 5,455円
3,000㎡を超え、5,000㎡以内 6,455円
5,000㎡を超え、10,000㎡以内 8,091円
10,000㎡を超え、20,000㎡以内 14,000円
20,000㎡を超え、40,000㎡以内 15,091円
40,000㎡を超えるもの 17,819円

※手数料の料金は税抜きです。

 

・建築設備定期検査

延べ面積 1設備 2設備 3設備 4設備
5,000㎡未満 2,637円 4,273円 5,819円 7,455円
5,000㎡以上
10,000㎡未満
4,546円 6,182円 7,728円 9,364円
10,000㎡以上
20,000㎡未満
5,546円 8,273円 9,910円 11,637円
20,000㎡以上 6,546円 10,182円 11,819円 13,546円

※手数料の料金は税抜きです。

 

・防火設備定期検査(報告対象建築物1棟につき)

延べ面積 手数料
3,000㎡以内のもの 3,000円
3,000㎡を超え、10,000㎡以内のもの 5,000円
10,000㎡を超え、20,000㎡以内のもの 8,500円
20,000㎡を超えるもの 11,000円

※手数料の料金は税抜きです。

また、新築・改築後には、初回の報告が免除される場合もあるため確認しておく必要があります。

 

・昇降機等定期検査

施設・設備 手数料
エレベーター 1,450円
エスカレーター 1,070円
小荷物専用昇降機 690円
遊技施設 980円

※手数料の料金は税抜きです。

 

定期報告書の記入要領

定期報告書は各提出先のサイトからダウンロードすることができます。

ヒロ総合メンテナンス合同会社では、定期報告書の記入から提出までを全て請け負っております。
現地調査後、調査内容を報告書にまとめ、必要であれば説明をさせていただき、報告書に所有者様または管理者様のご印鑑を押印いただきます。(郵送で書類を贈る場合もございます。)
定期報告書が受付されますと、受付印が押された控えが返却されます。報告書をファイリングし、ご返却いたします。

参考:定期調査・検査報告制度:7.報告書様式(ダウンロード)

 

東京での定期報告の事例①

建築物の外部調査

屋上調査

東京都の病院で特定建築物定期調査を行いました。

 

東京での定期報告の事例②

建築物の外部調査

屋上調査

東京都で特定建築物定期調査を行いました。

 

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