屋外広告物安全点検は屋外に設置された広告物の安全性を確保するための点検です。
広告物の広告主や所有者は、広告物の安全性が損なわれていないか定期的な点検の実施が求められています。
今回の記事では、屋外広告物安全点検の点検対象や項目、罰則などについて解説します。
屋外広告物の安全点検とは?
屋外広告物安全点検は、建築物の外壁や看板、橋や道路脇といった屋外に設置されている広告物の安全性を確認するための点検です。
屋外広告物は、屋外広告物法において、以下のように定義されています。
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この法律において「屋外広告物」とは、常時又は一定の期間継続して屋外で公衆に表示されるものであつて、看板、立看板、はり紙及びはり札並びに広告塔、広告板、建物その他の工作物等に掲出され、又は表示されたもの並びにこれらに類するものをいう。
引用:屋外広告物法
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加えて、各地方自治体に広告物に関する条例が制定されています。
屋外広告物の安全点検は、札幌市での屋外広告物の落下事故などが背景に、東京都や
横浜市など、地方自治体レベルで義務化が進んでいます。
義務化されていなくても、広告物が強風や地震などの自然災害によって倒壊したり、人や車両に危害を及ぼす可能性はあるため、広告主や所有者は、定期的に点検を実施しましょう。
点検対象
屋外広告物の点検対象は、地方自治体によって異なります。
例えば、尾道氏の場合、屋外広告物のなかで、設置の日から起算して5年を経過したもの、または高さが4mを超えるもの・表示面積が10㎡を超えるものを点検対象としています。
屋外広告物を管理または所有している方は、点検を実施するにあたり、自身の地方自治体の条例を確認しましょう。
点検項目
屋外広告物の点検項目は、地方自治体ごとに決められています。
東京都都市整備局が発行している「オーナーさんのための看板の安全管理ガイドブック」では、屋外広告物の広告主・所有者が実施できる日常点検の項目として、以下を定義しています。
対象の屋外広告物 |
点検項目 |
建植看板 |
支柱の根元からサビが出ていないか 看板が傾いていないか |
袖看板 |
ブランケット部よりサビが出ていないか 看板は垂直か |
野立看板・壁面看板 |
パネルががたついていないか |
外照式看板 |
照明器具が傾いていないか・外れかけてていないか |
共通 |
アクリル板にひびが入っていないか・外れかけていないか 照明に不点灯などはないか 看板部材が欠落していないか |
また、専門業者が行うべき点検についても明記されているので、東京都の方は確認してみてください。
東京都以外の方は、自身の管轄の地方自治体の点検項目を確認し、自身で実施できる日常点検を定期的に行い、専門技術が必要な点検は、業者に依頼して実施しましょう。
点検資格
屋外広告物の点検は、専門的な技術と知識を持った有資格者でなければ実施できません。
屋外広告物の点検に求められる資格は、地方自治体によって異なります。
例えば、東京都の場合、建築士法に規定する建築士や、電気工事士法に規定する電気工事士であれば、屋外広告物の点検を実施できます。
地方自治体によっては、職業訓練修了者や、点検に必要な専門的な技術や知識を持った型であれば、屋外広告物の点検を実施できる場合もあります。
そのため、屋外広告物の広告主や所有者は、まず自身の自治体の条例を把握しましょう。
点検頻度
屋外広告物の点検頻度は、地方自治体によって異なります。
一般的には3年に1度ですが、尾道市の場合、初回の点検は設置の日から5年経過後で、その後は3年ごとの実施としています。
名古屋市は、1年に1度の頻度です。
そのため、屋外広告物の広告主や所有者は、自身の自治体の条例を必ず確認しましょう。
決められた頻度で点検を行うことで、広告物の良好な状態が保たれます。
そして、台風や地震などの災害時に臨時で点検すれば、より確実に安全を確保できます。
また、決まった頻度で点検を行わないと罰金を課せられる場合があるため、注意が必要です。
屋外広告物点検を怠った場合の罰則
屋外広告物の広告主や掲示物件の所有者には、点検や補修、除去などの管理が義務付けられています。
そのため、点検を怠ると、罰則として罰金を課せられる場合があります。
罰金の金額は地方自治体によって異なりますが、50万円前後が一般的です。
屋外広告物の安全管理義務を怠ってしまうと、広告物の劣化や腐食に気づかず、大きな事故に繋がりかねません。
広告主や所有者は、資格者の条例や点検頻度を把握し、定期的に点検を実施しましょう。
点検を行ったことがない方は、点検資格者が所属している専門業者への依頼がおすすめです。
業者を選定する際は、点検実績や費用をもとに、複数の業者を比較することで、より確実かつ費用を抑えて点検を実施できます。
屋外広告物安全点検のまとめ
屋外広告物安全点検の点検対象や項目、罰則について解説しました。
広告物の広告主や所有者は、所轄の地方自治体が条例で定めた点検頻度と項目に沿って点検を実施することで、広告物の安全性を確保できます。
まだ点検を実施したことのない広告主や所有者は、点検資格者が在籍している専門業者に依頼して、点検を実施しましょう。
点検を怠ると、広告物の安全性が損なわれるだけでなく、罰金を課せられる場合もあるので、忘れずに必ず実施しましょう。